山下先生の研究がThe Astrophysical Journal誌に掲載されました
山下先生の若い星における磁気活動に関する研究が、The Astrophysical Journal誌に掲載されました。この研究は物理学の一種である「天文学」のうち、特に若い星の形成段階を扱う「星形成分野」に属します。
今回対象としたのは、太陽 (年齢46億歳) のような主系列星と、それよりも若い前主系列星 (年齢100-1000万歳程度) です。太陽表面に見られる強い磁場を持つ暗い領域は「黒点」として知られており、これは太陽以外の星にも存在します。特に活発な若い星では表面磁場が強く、巨大な黒点を形成することが、これまでの多くの研究により示唆されてきました。
本研究では、先行研究で調べられていた平均磁場強度と磁場強度の変動を用いて、両者の関係を解析しました。さらに、NASAのSolar and Heliospheric Observatoryに搭載されたマイケルソン・ドップラー撮像器(MDI)とSolar Dynamics Observatoryに搭載された磁場撮像装置(HMI)によって取得された、1996年から2019年の太陽の磁場変動データを同様に解析し、他の星と比較しました。 その結果、平均磁場強度とその変動の間に、3桁に渡る正の相関が見られました (画像1枚目参照)。磁場強度の変動の主な原因は、星の自転により黒点が見え隠れすることと考えられます。つまり、黒点が大きいほど、自転による磁場強度の変動量も大きいことが示唆されました。さらに本研究では、若い星ほど黒点群の面積が大きいだけではなく、黒点群を形成する黒点の数も多い可能性があることが示唆されました (画像2枚目参照)。
Mai Yamashita, Yoich Itoh, Shin Toriumi, (2025), The Astrophysical Journal, 985, 46
“Variations in the Magnetic Field Strength of Pre-main-sequence Stars, Solar-type Main-sequence Stars, and the Sun (前主系列星, 太陽型主系列星, 太陽の磁場強度の変動)”
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/adc816

